ありがとう、さようなら、ELLEGARDEN。
宝箱を開けた平成最後の夏。
5月10日、突然の活動再開発表、
8月8日、初日の新木場、
8月15日、一生忘れないZOZOマリンスタジアム、
8月30日、ROCK'IN ON JAPAN発売。
9月7日、活動休止から10年。
忘れられない、平成最後の夏がおわった。
8月8日、音漏れ。駅の改札から雨にも関わらず、「チケット譲ってください」のボードを持つ人たちがいて、コーストの看板には「ELLEGARDEN」の文字が光っていた。
10年前と同じ景色。この景色を見ながら泣いた高校3年生の夏の日の、帰りの有楽町線のことすらも、強烈に思い出した。
大学に行って社会人になって、いろんなことがあったけど、細美さんの背中に支えられて、自分なりにまっすぐ、がんばって生きてきたと10年ぶりの景色に報告しながら、雨の、新木場studio coastで立ち尽くす。台風の前の、不思議な空の色をきっと忘れないと思う。
8月15日。再びELLEGARDENを観るまで絶対に着ないと決めていたTシャツ、タオル、リストバンドを10年ぶりに身に着ける。8時に到着した時点ですでに、物販は6,000人が並んでいると噂されていた。でも、エルレの物販に並ぶという行動ができていることにワクワクした、あっという間の4時間半だった。
19時。昔と同じバックドロップが映し出されて、爆音で懐かしいSEが流れる。大歓声が爆発するなかで「ELLEGARDENだ!!!」と叫ぶひとの声が聞こえたことだけを覚えている。
There is nothing I can do as well
But to dream her all the time(supernova)
ねえ、細美さん。このイントロが鳴る日を、10年間、ずっと、ずっと、夢にみていたよ。
イントロでスクリーンに映った細美さんは、ELLEGARDENの顔をしていて。10年前の物語は、なにひとつ裏切られることなく凛々しさを増していて、ただただかっこよかった。
ゆっくりと傾く足元に気をつけて
思うよりあなたはずっと強いからね(高架線)
高校生の時、毎日のように放課後の帰り道に聴いていたことを思い出す。28歳になり、将来に悩んでいる今は、また違った優しさをもって響くことを知った。
見つかってはここに逃げ込んで
笑ったこと思い出して We're Missing(Missing)
大声のシンガロングに胸がしめつけられた。いつの時も、逃げ込む場所をつくってくれてありがとう。ライブがなくても、イヤフォンから流れるELLEGARDENは、わたしの逃げ場でした。
「10年経っても、嘘がつけず、周りから浮きまくっている、相変わらず馬鹿なオールドファンに捧げます」
Middle of Nowhereのイントロが流れる。何度も何度も、まだ頑張れる、と泣きそうになりながら聴いた曲が「オールドファン」へ歌われるなんて。ステージはものすごく遠かったけれど、確かに、1対1で向き合っているような、優しい音楽に触れる時間だった。どんなに理解されなくても味方でいると、誰もいなかったら手を貸せるよ、と歌うこの曲を。
Do you think about your dream
When no one believes you
I can help your wings
I won't deny you I won't ignore you
Do you hear as I sing here
赤い照明が、本当にきれいで。
最後の歌詞をかみしめるように歌った姿は、10年前ではなく、間違いなく今の細美さんだった。ずっと、この曲のとおりに生きてくれているからこそ感動を覚えて仕方なかったし、無性に、自分の10年間も肯定したくなって、涙が止まらなかった。
高橋さん、
Lonesomeが聴けて心から嬉しかったです。あんなに優しい、万感の想いを込めた泣き笑いの顔を見たことがなかったです。
うぶさん、
活動休止前は笑顔も見せず、声を詰まらせることもなかったあなたが、風の日の間奏で「うぶかたー!」って細美さんに叫ばれて、それからずっと涙目だったこと、絶対に忘れません。
雄一さん、
10年前と比べられないくらいかっこいいベース。実はずっと会場をいちばん見てくれていたこと、気づいていました。
細美さん、
人生でいちばん幸せな日と、嘘のない笑顔で言ってくれてありがとう。臆病なお前らの背中をちょっとだけ押してあげることが仕事だよな、ずっと歯を食いしばって生きてきたけど、こんな日がくるんだね、と話す細美さんが見れて、幸せでした。
虹で組んだサークルから見た景色、ジターバグやmake a wishの信じられないくらい大きな合唱、サンタクロースの優しい音に静まる会場と、きれいな三日月。
10年前と同じく、最後は月。なんでかわからないけど「部屋には僕と、僕の音楽」のフレーズが切なくて、細美さんの目も優しくて、ずっと泣いていた。
終演後の花火がきれいで、きれいで。
夢のような時間だったなと思った。
あまりに強烈な1日で、後日友人からライブの感想を求められても、うまく言葉にできなかった。自分の人生すらも誇りに思えた、かけがえのない1日だったことは間違いないけれど。
ELLEGARDENを思い出にすることが、さみしかった。
寂しくて、絶望した活動休止期間を、最高の形で終わらせてくれた。でも同時に「絶対また会える」と切なくも楽しみに待ってた日々も終わってしまった。
寂しいけど、the HIATUSもMONOEYESも、人生を支えてくれる大切なバンドで、この騒ぎがずっと続くことを4人が願っていないことも痛いくらい知っていたし、わたし自身も4人がロックスターであり続けることを望んでなかった。
細美さんが10年間続けてきた9月7日のブログ更新は、今年が最後だと綴った。毎年、あのブログを読むたびに感じた安堵と切なさは、細美さんも一緒だったんだと思う。次に会うことがあったらそれは、ELLEGARDEN第2章のはじまりなんだろう。
これから三日月を見たら、8月15日を思い出すよ。
ありがとう、さようなら、ELLEGARDEN。
これからも、世界でいちばん好きなバンドです。
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2019.7.26 追記
ELLEGARDEN第2章、フジロックで見届けた。いつか新譜が聴けるかもしれないと思えるなんて。私が思ってたより、細美さんはもっともっと強い人になってたことが何より幸せだった。